漠然ととらえられているこれらの疾患は、実際にはきわめて多くのバリエーションを持つことから、その治療では、以下に挙げた各個体の病態を適切に分類し、考察することが重要です。

【治療の意思決定と予後予測のために分類すべき病態】

1．シャントのタイプは？
・先天性単一性肝外シャント
・先天性多発性肝外シャント
・先天性単一性肝内シャント
2．門脈低形成はあるか？
・門脈低形成を伴う
・門脈低形成を伴わない
3．門脈高血圧はあるか？
・門脈高血圧を伴う
・門脈高血圧を伴わない
4．門脈高血圧の結果としての後天性多発シャントは？
・多発シャントを伴う
・多発シャントを伴わない
5．肝の病態は？
・肝硬変を伴う
・肝硬変を伴わない

今回は、上記の病態に基づいた、犬と猫の門脈シャントと門脈低形成への適切な意思決定の手法を解説します。

また、経験的にもっとも成功率の高かったセロファンバインディング法の変法を中心に、さまざまな病態に対応する手術手技のヒントも紹介していきます。